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プロフェッショナルな本音ブログ

現実のドタバタ珍道中とは!?②

2013年10月15日

前回は、

「うちの営業、ちゃんと入力してくれるのかな・・・」

 

SFA・CRM導入検討段階で、

この言葉をシステム部門のメンバーが発言した場合を例に出し、

システム部門が主体となって導入を進める際のリスクをご説明しました。

 

 

今回は、経営企画、営業企画といった企画部門が発言した場合について、

実体験の話を交えながら述べていきたいと思います。

 

 

 

【ケースⅡ:企画部門のメンバーが発言】

 

みなさんは経営企画部門、営業企画部門というと、どのような役割・権限を持つ組織をイメージされますか?

組織名だけ見ると、経営の中枢となる組織で会社全体を右にも左にも動かすことのできる権力を持つイメージがあるかもしれません。

 

確かに優秀な方が配属されることが多い部門ではありますが、

企画部門の組織パワーは企業によって大きく異なります。

 

具体的には、中心となる業務の観点から次のようなタイプに大別できます。

 

 

タイプ①:自部門が発信元となる社内対応が業務の中心

 

タイプ②:経営トップの指示事項への対応が業務の中心

 

 

シンプルに定義すると、

 

 

自主的に経営改善に向けた動きができる力を持つ部門か?

 

トップから言われたことだけをやっている部門か?

 

 

ということです。

 

 

ここからは私が実際に遭遇したある企業の経営企画部門の話をしたいと思います。

 

 

 

 

その企業は医療機器を取り扱う成長著しい優良企業でした。

対応してくれたのは、経営企画部のA課長。

 

面談の目的は、

SFAの導入提案だったのですが、会ってみるとやたら反応が良いんです。

 

プレゼン後、A課長から次のように打診されました。

 

「次は経営企画部のメンバーを集めるから、今日説明してくれたことを皆にも説明してくれるかな。」

   

1週間後、経営企画部の面々(A課長の部下)へのプレゼンを実施。

 

「まさにウチの営業の課題解決に必要な仕組みだ!」

 

と出席者全員が賛同するという想像以上の好反応でした。

 

「次は、営業部門のマネージャーに同席してもらいましょう!」

 

私がそう提案すると・・・、

 

 

 

そこから先方のノラリクラリが始まったのです。

 

 

その後、

何度も面談やプレゼンの機会を持つのですが、参加者は経営企画部の枠を出ない。

いくら打診しても、「声掛けとくよ」を繰り返すだけで営業マネージャーの同席は実現しません。

 

あるとき「マーケティング部門にも見せたい」と言い出したので、

マーケティング部門向けのプレゼン資料を準備して行くと、

出てきたのはマーケティング部門の平社員。

しかも「新卒か?」と思うような若い方で、

どう見てもA課長から言われてしょうがないのでそこに座っている、

という感じでした。

 

 

 

1ヶ月が経ち、2ヶ月が経ち・・・、まったく話が前に進みません。

 

 

 

毎回、面談の度に先方への依頼事項(次回までに実施してもらいたいタスク)を

明確にするものの、次に行ってみると進展は無し。

 

 

私は業を煮やして次のように質問しました。

 

 

私:「なぜ営業部門のマネージャーは同席いただけないのでしょうか?」

 

A課長:「打診はしてるんですけどね。結局ウチの営業はアナログなんですよ。」

 

私:「それが問題だということでSFAを検討されてるんですよね?」

 

A課長:「経営企画部は分かってるんですよ、今のままではダメだって。」

 

私:「そのこと経営トップや営業マネージャーとも共有できてますか?」

 

A課長:「そのことって?」

 

私:「アナログのままではダメだってことです。」

 

A課長:「そんなこと言ったらますますSFAどころの話じゃなくなりますよ!」

 

私:「何故ですか?」

 

A課長:「営業のやり方を批判することになるじゃないですか!」

 

私:「えっ?」

 

A課長:「うちの経営トップは営業出身なんですよ!」

 

 

 

私はこのA課長の言葉を聞いて確信しました。

 

この人は今回の件について

「何の社内調整もしていない」ということを。

 

そして間違いなく、

タイプ②:経営トップの指示事項への対応が業務の中心

 

の経営企画部であるということを。

 

 

別の言い方をすると、タイプ②の経営企画部は、

 

「経営トップから指示された事項でしか社内調整ができない」

 

ということです。

 

 

タチが悪いのは、彼らにもプライドがあります。

プライドがあるから「経営企画っぽい仕事」をやろうとします。

 

そのプライドに振り回されるのが、

ITベンダーやコンサルティング会社の面々です。

 

 

しかし、よく考えてみてください。

 

これって、誰が最も被害を被るのでしょうか?

 

 

そうです。

 

中長期的な視点で見ると、誰よりも被害を被るのは・・・、

 

「その企業そのもの」ですよね。

 

 

 

SFA・CRMの導入検討は、

しかるべき見識と社内調整力を持つ部門(人)が主導権を握るべきです。

 

そうでないと検討途中で「ウチにはまだ早い」とか根拠の全くない意味不明な理由でSFA導入が見送りにされてしまい、いつまでたっても本質的な問題点が改善されないまま、ダラダラと時だけが流れてしまうことになるのです。

 

これは何度も言っていることですが、

 

SFA・CRMは、

企業にとってインフラともいえる必須のツールです。

 

重要なのは「導入する、導入しない」ではなく、

「いかに戦略的に活用するか」なのです。

 

 

自社にとっての「戦略的な活用」「そのための人材育成」こそが、

最も重要なテーマである、ということをお忘れなく。

 

 

次回は、【ケースⅢ:経営トップが発言】について述べます。

 

 

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